ラスト・レシピ~麒麟の舌の記憶 映画感想

観て来ました!

【映画パンフレット】 ラストレシピ 麒麟の舌の記憶 監督 滝田洋二郎



監督:滝田洋二郎
主演:二宮和也


1度食べた料理の味は忘れないという才能を持った料理人・佐々木充は思い出の味を再現することで高額な報酬を得ては借金返済に勤しんでいた。ある日、中国に渡って皇室の最高料理人・陽清明から依頼を受けた充は戦時に天皇の料理番・山形直太朗が記したという幻の料理「大日本帝国食菜全席」を再現するためレシピの行方を追い求めることになり――というお話。

心温まるヒューマン・ドラマでありながら、謎に包まれたレシピの行方を追うというミステリ要素もあり。
現代と過去の時間軸が交互に流れて話が進んでいくところといい、この間の「ナミヤ雑貨店の奇蹟」と趣は似ています。

とりあえず、空腹時に観に行ったことを激しく後悔しました。。
美味しそうな料理が次々出てくるのでかなーり食欲が刺激されました。序盤のオムライスからしてもう美味しそう。さらには鮎の春巻きとかビーフカツとかとにかく美味しそうで思わず食べたくなります。最後の方はネーミングがオシャレすぎて名前を聞いてもよく分からないものも多々あったけどw
余談ですが、綾野剛の口から「すずらん園」というワードを聞くと日傘の彼を思い出します。ちょうどロン毛だし。。

そして西島秀俊がとにかくカッコいい!
天才的な腕を誇り、「大日本帝国食菜全席」を完成させるという重大任務を任された料理人・山形直太朗を好演。
天才とはいえ、プレッシャーに押し潰されそうになり周囲に厳しく当たる人間臭さも。
しかし「料理で人を幸せにしたい」と願い、料理人としての誇りを最後まで持ち続けた生き様はとにかくカッコよかったです。
それを隣で優しくフォローする妻・千鶴を演じる宮崎あおいのたおやかな演技も素晴らしい
荒んでいく直太朗を厳しく諭したり優しく励ましたりしてサポートしていく姿はまさしく良妻でした。山形と見習いの陽・鎌田との間を取り成す気遣いも素敵でこういう女性になりたいなぁと思いました。

同じ才能を持ち、同じように料理の高みを目指すあまり人に厳しく当たるようになる山形の話を聞いて自分と似たものを感じ共鳴していく充。
レシピを求めて山形の軌跡をたどっていく内に、辿りついた真相。それは意外な方向へと転がって彼の人生を変えていく――。

人と人が繋ぐレシピに込められた想い、そして人が人を思う心に涙しました
エンドロールにも料理が次々と映し出され、最後まで静かであたたかな余韻に浸ることができました。


以下、ネタバレ有り感想です。観てない方は注意







「思い出の料理」を再現するというハートウォーミングなことをしながらも、金さえ貰えればという淡々とした仕事ぶりの充。
冒頭の病室で料理し出したのにはビックリしたけど、その後の「1番最後はお前の手料理だ」「あのオムライスは主人と私が初めて出会った時の~」という夫婦のやり取りにええ話や…と感動していたら「そんなことより例のもの(金)を」と言い出した主人公に更にビックリしたよ!おま、血も涙もないんかい
それもそのはず、充は料理に固執するあまり喧嘩別れした施設長の葬式にも出ず、せっかく開いた店も一切の妥協を許さない性格から客にもスタッフにも逃げられ潰れてしまっていた。。

そんな充が幻のレシピを追い求めることで山形の姿に自分を重ねるようになりますが、山形さんはなかなか表情豊かなお人でした。
来たばかりの時にはニコニコだった表情が、プレッシャーに押し潰されていく内に険しくなり充と同じように厨房の仲間にも厳しく当たるようになる。
そんな山形に「目の前にいる人も信じられないのに人を幸せにする料理なんて出来るはずない」と厳しい駄目出しをしてくれた最愛の妻・千鶴が出産と引き換えに命を落としてしまう。
死んだ妻と産まれたばかりの赤ん坊を放って料理に勤しむ山形は冷たい人間なのか?と思わせての、妻の好物を空席に供えて「うまい。うまいな」と涙する山形さんに涙腺崩壊。。このシーンで1番泣かされました

妻を失い、男手ひとつで娘を育てる内に山形はレシピを書き直そうと決意。しかしこの極秘任務には恐ろしい陰謀が隠されていた…。
竹之内豊演じる三宅少将がなんかうさんくさい…と思ってたらやっぱりだよ!
天皇陛下に全席を披露する際、陽が陛下を暗殺しようとしたという事実をでっち上げるため。
ニコニコ笑顔の陽少年がとにかく可愛くて癒されっぱなしだったので、喧嘩別れのシーンでは「陽くんがスパイなんてするわけないよ!あれだけしごかれても山形を素直に褒めてた良い子なのに…」と思いましたがそういうことだったのね。。
軍の命令よりも友人の陽を守ることを選んだ山形。国と国の垣根を超えた友情を大切にするその姿はまさに「料理で世界中の人を幸せにしたい」という志の表れでした。
そして最後まで料理人としての誇りを失わない生き様が男前。「私のレシピに毒を盛るという行為はございません」と偽のレシピを燃やすのも、銃口を向けられニヤリと笑ってみせる姿も本当にかっこよかったです。
しかしながら銃殺シーンはあまりにもあっという間の出来事で、こんなに一瞬で尊い命が失われる無慈悲さが恐ろしかった。。
スパイ行為をしながらも山形を慕い続けた鎌田の、彼を逃そうとする場面の葛藤がかなりリアルでした。
山形に助かって欲しいという思いから縄を解こうとするも、「君の命が危ない」と言われ死への恐怖から手が止まる。そして「私は君を失いたくない」という山形の優しさに甘えて彼を救うことができなかった。そして山形を失った現実を突き付けられてからの謝罪と嗚咽…恐怖、辛さ、申し訳なさと様々な感情が伝わってきて胸が痛かった。。

しかしながら、山形の志と命懸けで守ったレシピは人の手を渡って受け継がれていた。
陽清明→鎌田→ホテルの支配人の息子と伝言ゲームのように人を尋ねては情報を聞き出し、最後は陽のところへ戻ってきた充。何を企んでいるのか?と思いきや、彼の思惑は陰謀とは無縁の意外なところにあった。
冒頭で愚痴ってる健の前を横切る影と、最後のカメラ目線が気になっていましたが、あの影が陽さんだったとは
さらには鎌田も食堂のおばちゃんもグル。おまけに言いだしっぺは兄弟同然に育った健!
話を聞く内に母親の記憶が甦ってくる充。母の幸は父が記した大切なレシピを守るために燃えさかる店に飛び込んで命を落とした。幸の父――山形直太朗が記したレシピを守るために。
そして、孤児になった充を引き取ったのは幸の幼馴染だった施設長。施設長は過去パートに何度も登場していた鈴木料理長の息子さんだったんですね!
「あのレシピは人を不幸にする」という父の言葉に、施設長もまた縛られていたのかもしれません。。充が料理人になることを反対し、喧嘩別れしてしまったが最後まで彼のことを心配し続け、彼の未来を救うためレシピを渡すことを決意した。
そんな親心あふれる施設長を充と会わせることが出来ないまま最期を看取ることになった健もまた、力になれなかった悔しさに苛まれていたことが終盤の涙から伝わってきました。

人を信用せず一切妥協しない充にただレシピを渡したのでは伝わらないかもしれない…ということで仕組まれたレシピ探しはまるで宝探しのようなものだったんですね。
陽、鎌田、幸、ホテルの支配人とその息子、鈴木料理長と息子の施設長…山形と千鶴の魂が込められたレシピは、周囲の人が大切に守り繋げて孫である充の手に渡った。これも山形が人を信じる料理人だったからこそ。そうなるよう道を示した千鶴さんにも感謝。
そしてこれだけの人の想いが繋げたレシピを目の当たりにして、自分は1人で生きているわけではなくたくさんの人が支え繋げてきてくれたからこそ今があるのだと気付いた充の涙…
人は誰しも1人で生きているわけではないということを改めて認識させられました。

祖父のレシピのおかげで変わることが出来た充は改めて店を開き、今度は他の料理人を信じて良好な関係を築いていけることでしょう。借金は陽さんのおかげで帳消しっぽいし良かった良かった。
ラストシーンでは、過去の山形と現在の充が交互に映し出され、まるで時を越えて直接見つめ合っているような錯覚に。
「よくやった」というように優しく微笑む山形と、褒められて誇らしげにしているようにも見える充の柔らかい表情のリンクが素晴らしかったです。
エンドロールでも、親子三代の写真にほっこり。

人と人が繋ぐ想い。。武器兵器は人の命を一瞬に奪うけれど、料理は人を笑顔にして幸せな気持ちにすることができる。
観た後で優しい気持ちになれる、素敵な映画でした。そしてお腹が空く映画でもある。(←台無し)

ラストレシピ 麒麟の舌の記憶 (幻冬舎文庫)


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