22年目の告白 映画感想

金曜ロードショーでやっていたので視聴。

22年目の告白-私が殺人犯です- ブルーレイ&DVDセット(2枚組) [Blu-ray]



監督:入江悠
出演:藤原竜也、伊藤英明、他


22年前に世間を騒がせ、時効を迎えた連続殺人事件。
ある日、その犯人だという人物が名乗り出て手記の出版を発表する。メディアに堂々と取り上げられる犯人に憤る遺族たち。当時、事件を追っていた刑事の牧村も憤りを抑えて彼らの復讐を止めようとするが…というお話。

予告を見た時から胸糞悪くなりそうなのが分かっていて、映画館には行かず終いだったわけですがテレビでやっていてついつい観てしまいました。
やっぱり、前半の胸糞悪さは異常。のうのうと事件について語る犯人、その告白を食い物にするメディア、そして何よりそんな犯人をイケメンだからと持ち上げる一般の人々。。いずれも信じられない神経をしている。
少し前に似たような事例を見たばかりなので全くのフィクションと割り切れないのが辛い所。。

一方で、遺族の心境も生々しいほど鮮明に描かれていました。
何しろこの犯人は必ず被害者に近しい人物を目撃者に選んでその人の目の前で殺しを行っている。そんな凄惨な光景を目の当たりにした目撃者が犯人に対して憎しみを抱かない訳がない。
妻を殺された医師、恋人を殺されたヤクザの組長、幼い頃に父親を殺された娘…(1件目の事件の遺族は全く登場しませんでしたが)それぞれの遺族が犯人へ憎しみを抱いて画面を見つめている。
中でも、子供の頃に父親を殺された娘を演じていた夏帆の悲痛な叫びは観ているこちらまで胸を締め付けられるようでした。年輩の遺族が静かな佇まいの中に燃えるような怒りをチラつかせているのに対し、彼女は顔馴染みの牧村に向かってダイレクトな思いをありったけぶつけてくる。思わず涙が出てくる魂のこもった演技でした
そして、事件を追っていた牧村自身も当時の上司を目の前で殺されており、妹もまた行方が分からなくなっている。彼もまた犯人を決して許せない気持ちであるだろうに警察という立場上、復讐を止めようとする。

そんな彼の姿にやるせなさを感じながら前半は観ていましたが、中盤以降は二転三転する展開に目が離せず息を呑むばかりでした。
「まさか」「そうだったのか!」という頭を殴られたような衝撃の連続。
そして怒り、切なさ、やるせなさなどあらゆる感情を内包したまま最後までその衝撃は続き。。
単なる胸糞映画ではなく、見た後に確実に心に爪痕を残す作品でした。
ここまで引き込まれたのは原作や脚本の腕はもちろんのこと、役者さんたちの芝居による所が大きかったように思います。重厚な芝居の出来る方ばかりで緊張感が途切れることがなかったのが良かった。
22年前の事件ってこの人たち何歳なんだろう?伊藤英明はともかく藤原竜也は40代は無理がある…と思ったのは秘密








「しかし藤原竜也はこういう胸糞悪い役多すぎだなぁ…サスペンス物に藤原竜也が出てきたら真っ先に疑うレベルに達してる」
そう思っていたのは私だけではないでしょう。それ故に、完全に騙されていました。
曾根崎のテレビ生出演から徐々に雲行きが怪しくなっていき、「私は犯人ではありません」という衝撃の告白。
急に悲哀に満ちた表情になり生気を失った様子になる曾根崎の正体。まさか、飛び降り自殺を計った牧村の妹の婚約者が生きていたとは!
そして、別人になり代わって復讐を遂げようとする婚約者・拓巳に協力したのは同じく愛する妻を殺された山縣院長。意表を突かれたものの、必然的でもあるこの繋がりにゾクッとしました。偽の手記を書いたのは事件捜査をしていた牧村。犯人を許せない遺族が協力して真犯人を炙り出そうとしたわけですね。
それにまんまとかかった…と思いきや、現れた真犯人が替え玉だったことで全ては台無しになる悔しさ、絶望感。。

それでも諦めない拓巳は独自の推理で犯人にたどり着き、牧村もまた後輩の一言で時効不成立の可能性に気付き車を走らせる。
拓巳が山縣に尋ねたトラウマの話、そして事件を追っていたというキャスターの仙道がインタビューに答える場面が一つに繋がって「この人だったのか!」という確信に変わっていく。思い返せば辻褄の合う伏線が多く、これはなるほどと思いました。
復讐のため仙道を殺そうとする拓巳ですが、牧村が駆けつけて「そいつを殺しても里香は戻って来ない」と止めようとする。
しかし復讐に憑りつかれていた拓巳を思いとどまらせる決めてになったのは時効不成立という単語でも牧村の制止でもなく…里香の死に際をモニターで見つめて拓巳はハッとしたように動きを止める。
具体的な心境は明かされなかったのでこの場面での彼の気持ちは想像するしかありませんが、無気力なまま殺された里香と目の前の仙堂を重ね合わせたことで「死を望んでいる仙堂を殺しても復讐したことにはならない」と気付いたのではないかと思いました。

結局仙堂は法によって裁かれることになりますが、生かしておいたら生かしておいたで思いっきり自分に酔ってるような口調で語り出したり手記を出版したり…果ては精神病棟のような所に入っていてなんだかなぁ…と思っていたら、最終的には遺族であるホステスの息子に再び襲撃されておそらく殺されてしまったと思われる。
これはこれでまぁ、しょうがないよね…。因果応報だよね…と思ってしまう終わり方が何ともいえない後味。

前半のミスリード要員としての憎たらしい演技、そして後半での悲哀と怒りに突き動かされる悲しき復讐者としての顔。
正にこの役は藤原竜也でなければ成立しなかったと言っても過言ではないでしょう。静かな中にも確かな説得力のある、素晴らしい演技でした。「あなたの会社はそういう本を出そうとしているんだ」と愚かな女性編集者を脅していた場面も、きっと遺族としての心からの怒りだったのでしょう。
全てを終えた後で海外に発とうとしている拓巳(一応殺人未遂を犯しているのでほとぼりが冷めるまで高飛び?)が振り返り様に一瞬だけ若き日の姿になるのが何とも切ない。

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