ビブリア古書堂の事件手帖 映画感想

映画が公開されると聞いて楽しみにしていたので、さっそく観に行ってきました!

5枚セット『ビブリア古書堂の事件手帖』 映画チラシ 野村周平 黒木華




監督:三島有紀子
原作:三上延
主演:黒木華、野村周平


鎌倉に住む青年・大輔は亡くなった祖母の遺品を整理している時、太宰治のサインが記した本を見つける。
鑑定のために訪れた古本屋・ビブリア古書堂で若き店主・栞子と出会った大輔は栞子の持つ豊富な知識によって本に隠された祖母の秘密を知ることになり…というお話。

原作ファンなので、映画化が決まった時から楽しみにしていました。(ドラマ版は黒歴史)
黒木華は、見た目のイメージはちょっと違ったけれど雰囲気は合っている。野村周平の大輔はこれじゃない感があったものの、しばらく見ていたら慣れてきました。
黒木華の演技は見事で、普段は控えめでおどおどしているけれど本のことになると途端に流れるように饒舌になる栞子さんの性格を忠実に再現していました。本を読み上げる声も綺麗で耳に心地よい
おしとやかな佇まいと服装もよく似合っていて、彼女が栞子さんを演じてくれて良かったと心から思いました。

それ以外の点で見ると、原作1巻をベースにしているものの完全に別物として仕上がっているので、賛否は分かれそう。
1巻で間に挟まれていた小エピソードは全て削られ、大輔の祖母の秘密と「晩年」を巡る事件の2点に絞られている。これについてはせっかく「人の手を渡った本に物語があると思うんです」と栞子さんに言わせているのだから、本を巡るドラマと謎解きを見せて欲しかった。。少しの手がかりから真実を読み解く栞子さんの手腕も少しかすんで見えてしまいます。
原作で特にお気に入りだったエピソードに出てくる人物がとんでもないアレンジをされていて、憤りを覚えました。このエピソードは、ドラマでは割と忠実に再現されていて悪くなかったのに。。

そう長くない1巻のエピソードを更に削ってどうやって尺を稼いだのかと言えば、大助の祖母・絹子と彼女に本を送った田中嘉雄との過去についてオリジナルとして詳しく描かれていました。
もしかしたら、ビブリア古書堂のスピンオフとして作られた絹子外伝を見ているのでは?と錯覚する程このオリジナルシーンが長い。
絹子と嘉雄をそれぞれ夏帆と東出昌大でキャスティングしたのは粋な計らいで、どこか素朴で落ち着いた雰囲気を持つ2人がとても絵になっていて文学的でロマンチックな雰囲気を漂わせていました。
ただ、この過去パートを栞子と大助の現在パートとリンクさせるにはちょっと繋げ方が弱いというか…過去パートの差し込み方もちょっと唐突で不自然な気がしました。
散々過去を掘り下げた割には説明不足なことが多く、雰囲気映画にしたかったのかな?と穿った見方をしてしまいます。

また、終盤からラストにかけてのオチは原作と大きく変更されており、栞子さんのキャラが違うベクトルに向いて終わりました。
詳しくは後述しますが、この映画だけで見ると栞子さんの改変と途中の伏線が上手く繋がっていて一見して綺麗な終わり方に見えます。この終わり方を見て、続編を作るつもりはないのだと確信しました。

個人的にはモヤモヤの残る映画化。。栞子さんの雰囲気と、ビブリア古書堂の店構えがとても良かっただけに残念です古書ミステリというよりは恋愛+サスペンス映画という感じ。
ただ、原作では栞子さんに一目惚れしていた大助を映画では徐々に栞子さんに惹かれていく風に描かれていて、それはそれで微笑ましくて良かったです。またエンドロールは、本をモチーフとした映像が流れていてグッときました。



ここからは詳細なネタバレありです。見てない方は注意下さい。










映像で見ると、大輔がお婆ちゃんに叩かれるシーンはなかなかの凄味があってこれはトラウマになるよなぁ…と同情してしまいました
あれを見せられた後で「本を読めていたら違った人生になっていたかもね」と言われると「えぇ…」と思ってしまうw

晩年を狙う大場葉三の正体は、おそらく原作もドラマも見ていない方にもバレバレだっただろうな…と。
登場人物がかなり削られている上に、当人の雰囲気も佇まいも怪しすぎるんですが仮にも謎解き物として演出はあれで良かったんでしょうか。。
過去パートを散々引っ張った割には、田中敏雄が晩年を求め続けた動機も説明不足で終わったし。。あの火事の中、燃えた晩年は彼と彼の祖父にとってどんなものだったのか。彼は祖父の死に何を思ったのか。掘り下げられるのかと思ったら触れられず終いで肩すかしを喰らいました。
あと、絹子はギャンブラーで何日も帰って来ない夫の振舞いに耐えていた…という説明が省かれていたので、事情を知らない人が見たら絹子が一方的に悪い妻に見えそうまぁ事情はどうあれ不倫自体ダメなんですけど

原作クライマックスでは栞子さんはもっと古書に貪欲に執着する危うい一面を見せていましたが、映画では真逆の行動をとることによって妹の「本だけじゃ分からないこともあるんだよ」という説教が活きている。栞子さんが人として成長、変化しているように描かれていました。
映画版では大輔が命の危機に追い込まれることで、栞子さんは「命より大切な本より人命を優先させた」ただただ人道的な人として終わりました。(原作栞子さんが非人道的とは言いませんが、したたかな部分を持っていることは確か)
またラストでは大輔がいきなり栞子さんに告白して終わったので、この映画単体で綺麗に纏めたかったんだなという印象。これはもう続編はないでしょうね。

アニメ版をやるという噂を耳にしたので、今度はそちらに期待しようと思います。

【合本版】ビブリア古書堂の事件手帖 全7巻【電子特別版】 (メディアワークス文庫)


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